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「最近、急に涼しくなりましたね」
窓からの景色は少し前とさして変わらないように見えるのに、
触れた窓枠はひんやりと秋の温度を伝えてくる。
「千早は、涼しいのは嫌いか?」
作業がひと段落したのだろう。
プロデューサーが椅子の上で大きく伸びをしながら、顔だけをこちらに向ける。
「―――嫌い、ではないですね。
この澄んだ空気は、私の声をどこまでも運んでくれるような気がします」
透明感に溢れる世界が一面、歌に染まっていくような―――。
それを聞いたプロデューサーは、マグカップを傾けながら小さく笑う。
「あの、何かおかしかったでしょうか?」
「……いや、千早なら本当にどこまでも声を響かせそうだな、ってな。
でも頼むから喉だけは痛めんでくれよな」
プロデューサーがとんとん、と小さく自分の喉を叩く。
釣られるように私もそっと喉を撫でながら、「そうですね」と小さく笑った。
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- 2008/09/29(月) 20:47:00|
- 小話
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